薬でなおす歯周病 ‐顕微鏡検査のススメ-
お薬による歯周病治療法=それが歯周内科治療。

歯周病が薬で治る?!
歯周病治療といえば、昔から歯磨きや歯石を除去といった、歯のまわりのお掃除が歯科医院でもされている基本的な治療でした。
歯科における2大疾患といえば「虫歯」と「歯周病」。これらの治療は現在のところ、外科的な処置が主流です。
しかし、それは歯科医師が特殊な技術を持ち、患者様も歯磨きを上手くできるという条件下でなければ良い結果は生まれせん。
どのような条件下でも同じ方法によって、簡単に良い結果が生まれる方法がないものかと考えられた結果、近年になって歯周病の原因である菌を特定し、薬で簡単に治す方法が見つかったのです。
この治療法は21世紀に入ってから行われている方法で、最新式の治療方法 「顕微鏡を使った歯周内科治療」 です。

位相差顕微鏡検査
顕微鏡検査では歯周病菌やカビ菌がほとんどの方に見られます。
我々は患者さんの口の中の汚れをほんの少し採取し、それを顕微鏡で観察します。
顕微鏡で見ることで、今現在の菌の状態を確認することができ歯周病になりやすいかどうか、今はどういう状態なのか、これからどういう状態にになっていくのかがわかってきます。
さらに映し出された動画像を拡大表示する機能を用いることで治療効果のよりわかりやすい説明を聞くことが可能です。

いったいどんな菌がいるのでしょう
位相差顕微鏡で確認できる菌の一部です。
 

トリホネーマの一種
 
         口腔トリコモナス


歯肉アメーバ


          運動性桿菌
   

主な感染経路は?
生まれたときには人の口の中には歯周病菌は存在しません。しかし、もともといない歯周病菌がなぜ今口の中にいるというと、人からうつされているのです。いまでも家族の間でうつしあってる状態にあるかもしれません。
回し飲みや回し食い、箸の使いまわし、キス、くしゃみなどが感染ルートとしてあげられます。
菌が再び口の中に入ってくると、口の中で定着して歯周病を発症する可能性が出てくるということになります。
特に危険なのは性感染です。せっかく歯周病をなおしてもパートナーからうつされたのでは意味がありません。パートナーの方と同時に治療なされることをおすすめします。

再発を予防するには
カビ菌は口腔内常在菌といって、口の中に必ず住み着いている菌です。徹底的にやっつけても、空気中や食べ物や手の指などから再び口に戻ってきます。全滅させることは不可能なのです。
ですから、毎日の歯磨きと歯科医院における定期的なプロフェッショナルクリーニングが大切です。カビ菌が増えすぎると歯ぐきが腫れるなど、悪い影響が出てきます。また、カビ菌は歯周病菌の快適な住みかにもなりますので歯周病菌が再感染しやすくなります。
定期的に歯科医院に通って、歯周病菌が再感染していないか、カビ菌が増えすぎていないか、顕微鏡で確認しカビ菌が増えすぎないように専用の器具を用いてクリーニングを行う必要があります。
・義歯の方
義歯を使っている方は、義歯にもかなりカビが付きます。義歯の清掃もこれから非常に重要になってきます。
・虫歯の方
カビは歯周病にだけ関与しているわけではありません。カビは口の中で酸を出す事がわかってきています。その周りに歯があれば歯を溶かし、虫歯を作ってしまうのです。
・喫煙者の方
治療に使う薬は白血球が運んでくる薬なので、タバコを吸うと歯ぐきの血管が収縮し、白血球が減少し、薬の利きが悪くなります。タバコは歯周病になりやすく、歯周病が治りにくいことがわかっています。

全身疾患との関係
菌が全身疾患に大きく関与しているのが医科でも問題になってきてます。カビが肺に入れば肺炎なってしまいます。歯周病菌も、わずかでも口の中で出血を起こすとそこから血管に菌が入ってしまい、心臓で炎症を起こすのです。歯周病の人が心臓病になる確率は2〜3倍にあがります。ほかにも食道癌、糖尿病、早産、高血圧などにも関与しています。

顕微鏡と薬による治療
自覚症状の強い方ほど1週間後の変化を大きく実感します
自覚症状の変化:1週間で口臭、ネバネバ感が消失。出血なし
1週間後の感想: 「気になっていた口の匂いがなくなりました。歯ぐきが引き締まった感じです。
噛んだときの違和感もなくなりました。」

この治療法には4つの大きなポイントがあります。
・治療の流れ
  @位相差顕微鏡での菌の確認
  A細菌の除去剤の内服
  Bカビの除去剤あるいはカビとり剤での歯磨き
  C除菌後の歯石とり

特に@は、非常に大きなポイントです。位相差顕微鏡で口の中の菌を確認しなくてはなりません。歯周病菌がいるのか、カビが多いのか、あるいは非常にきれいなのか。位相差顕微鏡で確認しないと、お薬の選択ができません。
初診時・治療開始日   治療開始1週間後   治療開始3週間後
   
歯ぐきの痛み、出血、腫れが見られます   腫れも引いてきており出血もしなくなりました。歯石が見えてきています。(矢印)   腫れもなくなり歯ぐきの色もきれいなピンク色になりました
治療後の細菌叢

再度の顕微鏡検査で確認したところ歯周病の原因
となる菌や虫歯の菌が無くなり
穏やかな細菌叢(さいきんそう)が確認されました。

薬による歯周病治療後に注意すること
@ 歯周病は細菌による感染症なので、再感染に気をつけましょう。特に性感染に気をつけましょう。
A 歯周病を起こす細菌が感染しにくいように。口の中を清潔に保つようにこころがけましょう。
つまり歯石やカビ菌を定期的に除去して、そして毎日の適切な歯磨きをしましょう。
B 歯周病を起こす細菌が再感染していないか、また、口の中が再感染しやすい環境になっていないか、歯科医院での顕微鏡を用いた定期健診を受けるようにしましょう
(当医院は国際歯周内科学研究会会員です)

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